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メーカー勤務から外資コンサルへーー自身の経験を活かしコンサル出身者に特化した会社を起業
ーー社長の経歴を教えてください。
新卒では大手精密機器メーカーに入社しました。
小さい頃オーストラリアに5年住んでいましたが、日本のメーカーが世界から評価されていて、誇らしさを感じていました。そのため、日本のメーカーに就職を決めました。
しかし本社が地方にあり、自分の熱量、周りとの成長意欲にギャップを感じました。
より広い視野で人と関わりたいと考え、1年半で退職して第二新卒でコンサル業界に入りました。
コンサルティングファームは非常に刺激的で、インドネシア出張など海外案件も多くあり、求められるレベルが高く、成長スピードが全く異なりました。
一方で、3年程経った際に、コンサルタントが増えている中で今後は自分ならではの専門性を持たないと厳しくなっていくと感じ、エンタメ・スポーツなど、特徴的な業界のプロジェクトに強いブティック系の戦略コンサルティングファームに転職しました。
そして最終的には“自分にしかできないことをやりたい”という思いで、自分の会社を持つ決意をしたという流れです。
ーー貴社を立ち上げたきっかけはなんですか?
新卒から数えて3社目でコンサルの仕事をしていた頃、1つのキャリアとしてフリーランスとして働きはじめることを検討しました。
そこで、いくつかのサービスに登録してみて話を聞いてみたのですが、正直「あまりコンサルのことを分かってないな」と思いました。
それであれば自分でコンサル出身者に特化したサービスを作った方がいいと思い、Groovementを立ち上げました。
ーー貴社の事業について教えてください。
今は大きく3つの事業を展開しています。
まずは“スキルシェア事業”と呼んでいる、フリーランスのコンサルタントと企業のプロジェクトをつなぐマッチングサービス”Strategy Consultant Bank /IT Consultant Bank”です。こちらが祖業となります。
次に、スキルシェアのプラットフォームを活用しつつ、”Groovement Consulting”として自社でもコンサルティング事業を展開しています。
そして3つ目が“Pro Essence”という研修サービス。
企業向けにコンサル的な思考や実践を教える内容で、企業の自走力を高めるための支援をしています。
最初はスキルシェア事業だけでしたが、「フリーランスだけではプロジェクトが不安」という企業の声が多く、「何かあったときに誰がサポートするのか?」「予算が限られているが、もっと大きな規模のプロジェクトをお願いしたい」といった課題に応えるために、”Groovement Consulting”も立ち上げました。
また、Pro Essenceは“社内にもコンサル的な思考を根づかせたい”というニーズから生まれたもので、現場の要望が全ての出発点になっています。
ーー他社との差別化ポイントを教えてください。
スキルシェア事業にフォーカスすると、大きく3つあります。
まず1つ目は、登録している約1,500名のフリーコンサルタント全員が、コンサルティングファーム出身であるという点です。
他社では事業会社出身の方も多く登録されていますが、弊社は“コンサル出身者に特化する”という方針でやっています。
2つ目は、戦略領域で圧倒的な知名度を有している点。
“Strategy Consultant Bank”の立ち上げ当時は戦略コンサルティングファーム出身者に特化したサービスは存在しなかったので、戦略コンサルティングファーム出身者が独立する際、「まず初めに選ばれるサービス」に成長しています。
そして3つ目が、マッチングにAIを活用している点ですね。
スピーディーに案件をレコメンドできるようになっていて、コンサルの知見をベースにしたシステムを自社で開発しています。
こうした仕組みが、他社にはない強みになっています。

人と企業の“本質的なフィット”を生む──フリーコンサルの未来を変えるマッチングの力
ーー社長の成功体験を教えてください。
一番印象に残っているのは、弊社が紹介したフリーコンサルの方が、そのプロジェクト先の企業に転職し、最終的に社長に就任されたケースです。
その方は元々Big4のコンサルティングファームにいらっしゃった方で、独立後はスモールビジネスの立ち上げ準備に従事しつつ、弊社経由でIPO準備中の企業のプロジェクトに参画されました。
しかしながら結果的には、プロジェクトに参画していた会社のビジョンに共感し、正式に入社、現在では代表取締役として活躍されています。
これは単なるマッチングにとどまらず、本質的に“人と企業がフィットした”結果だと感じていますし、こうした事例が生まれたことが本当に嬉しかったですね。
単なる案件紹介で終わらない、人生を変えるような出会いを生み出せたという意味で、弊社の価値を実感できた瞬間でした。
ーー失敗体験はありますか?
創業初期はとにかくキャッシュを貯めるために売上を優先して動いていたため、社内の仕組みづくりや方向性のすり合わせが後回しになってしまいました。
その結果、メンバー同士で目指す方向がバラバラになってしまい、会社としては成長し続けているものの、一体感が損なわれてしまった時期がありました。
今振り返ると、会社が存続できる程度の売上が見込めたタイミングで組織の土台を整えるべきだったなと反省しています。
そこからは全員で定期的に対話の機会をつくって、お互いの考えをすり合わせるようにする機会を設ける様にしています。
まずは「足並みを揃えること」が重要だと実感しています。

ーーフリーコンサル業界のトレンドとそれに対する貴社の動き方について教えてください。
ここ数年でフリーランスのコンサルタント市場は大きく拡大しています。
このまま何もせずにいると、有象無象のSES業界に近い業界になってしまう可能性もあり、課題感を持っています。
特に大企業で副業や兼業が認められるようになり、独立するハードルが下がったことで、経験豊富な人材がフリーとして活動するケースが増えています。
ただ、その一方で市場の成熟が追いついておらず、スキルや品質にバラつきがある状態にもなりつつあります。
このままだと、単価競争が進み、結果として業界全体の信頼性が下がるリスクもあると感じています。
Groovementではこの課題に対し、まず“信頼できる優秀なコンサルタントが集まる場所”をつくることを重視しています。
大手コンサルファーム出身者に特化し、AIを活用したマッチングシステムでスピードと精度の両立を実現。
業界の中で圧倒的な信頼と実績を築くことで、フリーコンサルが安心して活躍できる土壌を整えたいと考えています。
ーー貴社がスキルシェア事業で目指す先について教えてください。
私たちが目指しているのは、“フリーコンサルが独立しやすい世界”をつくることです。
現状、フリーコンサルとして独立したいと思っても、情報もサポートもバラバラで、何から始めればいいか分からない方が多いと考えています。
Groovementは、独立前の相談から案件の紹介、法人化や名刺の作成、キャリアの再設計まで、一気通貫で支援できる存在となることを目指しています。
将来的には、フリーコンサルに関連するあらゆる情報を集約し、フリーコンサルの方が毎朝一番始めに開く“ホーム画面のようなプラットフォーム”になることがゴールです。
ーー今後、上場は考えられていますか?
はい、上場はあくまで“通過点”として意識しています。
資金調達や認知拡大を通じて、より多くのコンサルタントや企業に価値を届けることを目的にしています。
上場によってサービスの質を落とすことなく、さらに強固なプラットフォームに育てていきたいと考えています。
ただし、あくまでユーザーにとって使いやすく、有益な場であることを最優先にして動いています。
自分のできることは全部やるーーその結果、いいカタチで自分に返ってくる
ーー社長が経営する上で大切にされていることを教えてください。
一番大切にしているのは、“目の前のことに全力を尽くす”という姿勢です。
自分がやれることは全部やる。
それが結果的に将来の信頼やチャンスにつながると思ってます。
実際、独立したばかりの頃に受けたお仕事は、前職で良い関係を築いていた方々からいただいたものが多かったです。
特に最初の1年は、メリットがなくても手弁当でお手伝いしたりしてました。
それが今、思わぬ形で返ってくることもあって、“損得だけで動かない”というのは常に意識しています。
また、社内のメンバーに対しても、“一緒に船に乗ってくれた人”として真摯に向き合うことを心がけていて、短期的な成果だけで評価したりはしません。
人との信頼を積み重ねることが、最終的に会社を強くすると思ってます。
スタートアップ同士で業界を盛り上げるラジオ「渋谷のスタートアップ」
ーーコミュニティや地域貢献に関する貴社での取り組みを教えてください。
直接的な地域活動とは少し違いますが、“渋谷のラジオ”というコミュニティFMで『渋谷のスタートアップ』という番組を持っており、毎週スタートアップ経営者やベンチャーキャピタル、行政関係者などをゲストにお迎えしています。
この番組では、起業の背景や目指すビジョンなどを紹介し、スタートアップ同士のつながりを広げる場として機能しています。
事業とは別軸ですが、スタートアップ文化を盛り上げるという意味で、コミュニティへの貢献を意識して続けています。
ーーゲストの選ぶポイントはなんですか?
番組の趣旨として、スタートアップや新しい挑戦をしている方を応援したいという思いがあるので、経営者や新規事業責任者、ベンチャーキャピタルの方などを中心にお呼びしています。
特に“なぜ起業したのか”“どんな社会課題に向き合っているのか”が明確な方は魅力的ですね。
また、AIや化粧品、フード、ファッションなど、リスナーにとって関心の高い分野の方や、渋谷エリアで話題のサービスを手がけている方もよくご紹介いただいています。
マッチしやすい人物像とは

ーー最後に貴社のPRをお願いします。
Groovementは、“新たな挑戦者に最も信頼されるNo.1プロフェッショナルサービスを目指す”というビジョンを掲げて活動しています。
現在、私たちが最も力を入れているのが“仲間づくり”です。
IPOを目指す中で、志を共にする新たなメンバーを求めています。
コンサルティングファーム出身者をはじめ、スキルシェア事業においては人材業界経験者や、金融などの無形商材の営業出身、もしくはコンサル業界に精通している方であれば、当社でご活躍いただけると思います。
“コンサルティング業界を取り巻く環境を根本から変えていきたい”という思いを持った方と、一緒にこの業界をつくっていければ嬉しいです。