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肺がんステージ3からの復活|生存率19%を乗り越え、5億から20億へ。理念経営で描く300億への道

株式会社アケボノ
代表取締役 細田 健一氏
公開日:
2026.05.29
更新日:
2026.05.29

リクルート、独立、倒産。そして家業へ

まず、御社の事業内容について教えてください。

株式会社アケボノは、今年で54期目を迎えます。建物の塗装・防水・大規模修繕を専門に施工する会社です。現在の売上は約20億円規模となっており、過去5年間で急成長を遂げています。

ここ数年で大きく成長されたのですね。

6年前(2021年)には5億円まで売上が落ち込んだ時期もありましたが、そこから毎年約30%ずつ成長し、5.6億、6.3億、8.7億、10.8億、15億と推移してきました。今期は22億円前後を見込んでいます。

ただ、現在は中東情勢の影響による材料不足もあり、20億円は超える見込みですが、成長ベースとしては少し足踏みしている状況です。

細田社長は2代目とのことですが、経緯を教えてください。

はい。父が創業した会社を継いでおります。しかし、私は最初から家業に入ったわけではなく、23歳の時に自分で会社を立ち上げていました。

その会社は、最終的に売上が約50億円、従業員400名、21店舗まで拡大しましたが、結果として倒産してしまったという過去があります。

その会社はどのような事業を展開していたのですか。

現在と同じ塗装の会社でしたが、当時は一般住宅向けの外壁塗装や防水塗装などを専門としていました。年間では最終的には4,000〜5,000件ほどの施工を手がけていました。

ご自身で創業されたのですね。

その前にリクルートに入社し、2年半ほど営業をやっておりました。そこで営業の基礎を教わり、当時約3,000人いた営業社員の中で、達成率6位という成績を残すことができました。

その後、家業に入り営業を担当したところ、半年ほどで成果が出始めました。「自分でもやれるのではないか」と考えるようになり、23歳で独立しました。

かなり若い頃に起業されたのですね。

父親への対抗心もあったのかもしれません。創業1年目で売上1億8,000万円、2年目で7億円にまで成長しました。

当時は株式公開を目指しており、ベンチャーキャピタルから資金調達を行い、監査法人も入れていました。そのため、本当に寝る間も惜しんで働いていました。

そこまで成長された会社が、なぜ倒産されたのでしょうか。

当時、同業の会社が上場し、大きな注目を集めていました。私自身も「次は自分たちが続こう」と考え、事業拡大を進めていました。

しかしその頃、悪質なリフォーム詐欺が社会問題化し、テレビの報道番組などでも大きく報道されるようになったのです。私たちも訪問販売を中心に展開していたため、業界全体への不信感が一気に広がりました。

そこから状況が大きく変わったのですね。

報道の内容は、屋根をわざと壊して「屋根が壊れていますよ!」と言うような悪質な業者がいるというものでした。

その内容が報道されると、全く関係なくても、ユーザーの立場からすると訪問販売は一旦お断りというマインドになってしまいますよね。それで受注が急激に減少し、コントロールが効かなくなってしまったのです。

一部の悪質業者による問題ではありましたが、ユーザーから見れば区別はつきません。結果として、訪問販売そのものが敬遠されるようになり、受注が急激に減少してしまいました。

その時の経験は今に生きていらっしゃいますか。

はい、非常に生きています。現在は、1年間売上がなくても会社が存続できるだけのキャッシュを確保する経営を徹底しています。

倒産を経験したからこそ、成長だけを追うのではなく、会社を継続させるための財務基盤の重要性を強く意識するようになりました。当時は市場環境にも恵まれていましたが、その経験から学んだことは非常に大きかったと感じています。

生存率19%の宣告。そこから生まれた企業理念

家業に入られてからの経緯を教えてください。

倒産後は家業に入って約10年間働いた後に社長へ就任しました。当時の売上は毎年7〜8億円ほどで推移していましたが、6年前に肺がんを患い、状況が大きく変わりました。

病状はステージ3で、左肺を摘出する手術を受け、その後1年間ほど療養生活を送ることになったのです。

がんの宣告を受けた時、どのようなお気持ちでしたか。

5年後に生きている確率は19.2%だと告げられた時は、大きな衝撃を受けました。その中で、「これまでに何も残していないな」「これまで一緒に一生懸命頑張ってくれた人たちがいるではないか」という思いが強くなりました。

その時に一番に頭に浮かんできたのは、従業員と家族です。

自分自身の人生のために、自分が目指す幸福のために、みんな働いていると思うのです。会社としても従業員の幸福を追求していきたいと思いました。残りの時間がたくさんあるわけではないですからね。

その経験が、現在の経営理念につながっているのですね。

復帰後は、単純に売上だけを追う経営をやめようと決めました。そして、「塗装・防水・大規模修繕を通じて、安心で快適な改修工事を提供する」と、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という理念を掲げ、理念経営へ舵を切りました。

その理念に基づき、従業員の待遇改善や働く環境づくりにも取り組んできました。その結果、従業員のモチベーション向上や人材採用力の強化につながり、会社も5億円から20億円規模へと成長することができたと感じています。

平均年収690万、年間休日130日。理念に基づく組織づくり

売上を急成長させた要因を教えてください。

基本的には、企業理念に基づいた運営を徹底してきたことが大きいと考えています。弊社は塗装・防水・大規模修繕に事業領域を絞っており、むやみに商品品目を増やすのではなく、専門に特化した営業活動を行っています。

営業力の強化も成長につながっているのでしょうか。

はい。成果を出した社員には、しっかり還元する方針を取っています。例えば、営業職の平均年収は昨年で約690万円、一番高い社員では1,500万円近い年収になっています。

「頑張った人には報いる」という姿勢を明確にしたことで、社員のモチベーション向上にもつながっていると感じています。

それで社員のモチベーションが上がったのですね。

そうですね。企業理念を策定した5〜6年前から、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という考え方を軸に、働く環境の改善にも取り組んできました。

具体的には、2024年は年間休日が130日、2025年は127日を確保し、残業も基本的に月30時間以内に抑える体制を整えています。単に休みを増やすということではなく、仕事とプライベートにメリハリをつけながら働ける環境づくりを意識しています。

専門特化による圧倒的な提案力

他社との差別化ポイントを教えてください。

弊社の強みは、塗装・防水に特化しているからこその提案力だと考えています。塗装と防水に特化しているため、メーカーを招いた勉強会も月に1〜2回実施し、常に最新の知識や製品情報を学んでいます。

そのため、お客様の課題に対して、専門的な視点から最適な提案ができるのです。

具体的には、どのような提案をされているのでしょうか。

例えば、「夏場の暑さをなんとかしたい」というご相談に対しては、遮熱や断熱の塗料をご提案しています。

一口に遮熱・断熱塗料と言っても、メーカーごとに性能や価格帯が異なりますので、それぞれの特徴や用途を丁寧に説明した上で、お客様に最適なものを選んでいただいています。

こうした専門的な提案は、幅広く事業を展開している会社ではなかなか難しい部分でもあり、当社ならではの強みだと感じています。

60歳で100億、65歳で300億。エリア拡大で描く成長戦略

今後の目標を教えてください。

現在(2026年取材時)55歳なのですが、60歳で売上100億円、65歳で300億円を目指しています。決して非現実的な数字ではなく、十分に実現可能だと考えています。

より具体的には、2031年に売上高100億円、従業員数200名規模を計画しています。現在の20億円から100億円へ、5倍の成長です。そして従業員も、現在から200名規模まで拡大していく計画です。

かなり高い成長目標ですね。現在の状況はいかがですか。

本来であれば、今期は24億円規模まで伸びる想定でしたが、中東情勢の影響による材料不足で一部工事が止まっており、最終的には22億円前後になる見込みです。

今後の成長については、どのように見通されていますか。

来期以降は、再び成長ペースを加速できると見ています。現在の受注残だけでも数億円の規模あります。今後さらに積み上がっていけば、次は30億円、その先は45億円、70億円という形で成長していきたいと考えています。

今後はエリア拡大も進めていくのでしょうか。

はい。現在の主な商圏は埼玉、群馬、栃木です。この3県だけで1,100万人の商圏人口がいます。ただ、実際には、一部のエリアしか開拓できていないので、実質商圏人口は約700万人程度と見ています。

一方で、1都6県全体では約4,300万人います。つまり、まだ3,600万人ほどの市場が眠っているということです。まずは北関東エリアでの基盤をさらに強化し、その後は千葉や東京方面への展開も視野に入れています。

私自身としては、1拠点だけでも売上50億円規模までは十分に伸ばせると考えています。

M&Aについてはどのようにお考えですか。

現時点では、M&Aはあまり考えていません。

私は、会社にとって最も重要なのは社員の価値観やカルチャーだと考えています。組織として共有している価値観が合わなければ、長期的にはうまくいかないと思っています。そのため、今後も自社採用を中心に組織を拡大していく方針です。

価値観を共有できる仲間

どのような人材を求めていらっしゃいますか。

同じ時間を働くわけで、例えば70歳まで働くとしたら、私にはあと15年しかないのです。人生の時間には限りがありますし、働く時間も決して短くはありません。だからこそ、仕事を通じて、自分自身の幸せや成長を追求したいという思いを持っている方と、一緒に働きたいと考えています。

特に、どのような価値観を持った方と働きたいとお考えですか。

当社としても、「働く以上はしっかり稼ぎたい」「自分の市場価値を高めたい」「生活をより良くしていきたい」という意欲を持った方に、やりがいを感じながら働いていただける環境を整えていきたいと思っています。

また、仕事は1人では成り立ちませんので、周囲と協力しながら進められる協調性も大切だと考えています。

その上で、当社の企業理念に共感し、自ら成長や挑戦を続けていける方と、一緒に会社をつくっていきたいと思っています。

働く環境づくりについては、どのようなことを意識されていますか。

社員が誇りを持って働ける労働環境を実現することは、当社の大きな強みだと考えています。

また、企業として成長するだけでなく、雇用の創出や納税を通じて地域社会に貢献していくことも、会社として重要な使命だと捉えています。

最後に、求職者の皆様へメッセージをお願いします。

現在、従業員募集を毎年40名程度と計画しており、毎月3〜4名が入社しています。これは、2031年に従業員数200名規模を実現するための計画的な採用です。

成長意欲と向上心のある方は、ぜひ来てほしいです。自分の人生のために、家族のために頑張りたいという気持ちがある方、企業理念に共感して、一緒に成長・挑戦していける方を、心からお待ちしています。

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COMPANY 企業情報

企業名
株式会社アケボノ
代表者
細田 健一
所在地
埼玉県熊谷市肥塚1410
設立
昭和48年2月21日
事業内容
建設、塗装、防水、大規模修繕全般
HP
https://www.akebonos.co.jp/

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