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ものづくりへの情熱が生んだ内製化の強み|看板業界で27年、新技術で未来を切り拓く経営者の挑戦

株式会社樹サイン
代表取締役 岡村 直樹氏
公開日:
2026.05.28
更新日:
2026.05.28

独立志向から始まった、看板業界との出会い

まず御社の創業経緯について教えてください。

2000年に会社を設立し、今期で26期目を迎えます。もともと独立志向が強く、具体的に「何かをやりたい」というよりも、「自分で何かを試したい」という想いが強くありました。

学生時代から様々なアルバイトを経験してきました。私は体を動かすことが得意だったこともあり、建設関係の仕事に携わる中で、看板という分野に出会いました。ものづくりの楽しさや、現場に取り付けた後にも目に見える形で残るというところに大きなやりがいを感じ、27歳の時に独立を決意しました。

社会人としてのキャリアはどのように積まれたのですか。

最初は東京ガスに入社しました。現場方面の業務に携わっていたのですが、自分のやりたいことと違うなと感じるようになったのです。当時の主要取引先に転職し、4、5年ほど修行した後、27歳で独立いたしました。

独立された当初は、不安などはありませんでしたか。

1人でスタートし、仕事が取れないこと=売上ゼロの恐怖もありましたが。まだまだ無知な看板業界でまずは様々なことに挑戦しながら知識や技術を作っていこうという思いで無我夢中で取り組んでいました。当時はネオンサインの全盛期、他にも多種多様なサインがある中で
独立当初はトライ&エラーの連続、ただ、その積み重ねがあったからこそ、いまの当社のモノづくりの対応力の土台ができたと感じています。

設計から施工まで。内製化が生む圧倒的な強み

現在の事業内容について教えてください。

看板の制作から設計、意匠提案、取り付けまで、全ての工程を社内で行っております。お客様の業種も幅広く、フランチャイズ店舗のオーナー様、ホテル、ゼネコン、広告代理店など、様々な業界の方とお付き合いをさせていただいております。

大型案件としては、ホテルの工事や商業施設の看板、ゼネコンから依頼される工事が多いですね。また、LEDビジョンも最近非常に増えてきておりまして、案件によっては数千万円規模の工事も手掛けております。

LEDビジョンの需要が増えているのはなぜでしょうか。

デジタルサイネージの普及により、動画や画像を表示できるLEDビジョンの需要が急増しています。従来の静的な看板と違い、時間帯や季節に応じて表示内容を変えられますし、動きのある映像で人々の注目を集めることができます。屋外でも屋内でも、商業施設、駅、ビル、イベント会場など、様々な場所で活用されています。

他社との差別化ポイントはどこにありますか。

最大の強みは、ものづくりを内製化している点です。看板と言っても様々な種類があり、例えば立体的なチャンネル文字やLEDが入る看板、大きな自立看板や壁面看板などがあります。そういった看板の提案から設計、製造までできることが強みです。

LEDビジョンは海外の工場で製造されたものを輸入販売するのですが、その取り付け用の金物やシステムなども全て社内で賄えますので、お客様からは大変重宝していただいております。

チャンネル文字について詳しく教えていただけますか。

わかりやすく言うと、文字の形をした光る文字です。街中には様々な看板がありますが、チャンネル文字は、シートで貼った平面的な文字ではなく、厚みのある立体的な文字のことです。

商業施設では、各テナントにほとんど取り付けてあるもので、高級感のある樹脂製の文字や、ビルの外壁に取り付けられているような金属文字など、小さいものから大型まで様々なものがあります。

設計提案から関わっていらっしゃるのですね。

はい。設置場所に応じた色や仕様のご提案からしております。実は看板は、塗装や仕上げの違いだけでも費用が3割前後、場合によっては倍近く変わるケースもあるのです。そういった費用から設置場所に最適な仕様までのご提案を進めながら、社内で制作していく流れになります。

最近では国立競技場の看板なども手掛けさせていただきました。業界に入った時、こういった歴史のある看板も私たちが出来るとは夢にも思いませんでした。

そもそも、なぜ看板という仕事に惹かれたのでしょうか。

元々はサイン業界のことを全く知りませんでした。ただ、実際に入ってみると、イメージが全く違い、どちらかというと華やかな、よく遊びに行くような場所に設置している仕事が多かったのです。

そうした中で、ものづくりの楽しさに加え、毎日違う業務が楽しくて、やりがいがあると感じました。ものづくりと、設置後にも形が残るような環境で、頑張ってみたいという気持ちが強くなったのです。商業施設やホテル、エンターテインメント施設など、人々が楽しむ場所を彩る仕事というのは、想像以上にやりがいがありました。

3Dプリンターで切り拓く、看板製造の新時代

今後の挑戦について教えてください。

ものづくりを強みとしておりますので、さらに技術力を磨いていきたいと考えています。

現在は、3Dプリンターでの樹脂文字製造を始めているのですが、カスタマイズ性の高さや、細かな形状も短納期で仕上げられること、今まで高額だった文字を安価に制作できることなど、様々な応用を利かせながら技術を磨いているところです。

3Dプリンターを導入したきっかけを教えてください。

従来の樹脂文字などの高級な製造方法では、複雑な形状や小ロットの案件はどうしてもコストが高くなってしまいます。しかし、3Dプリンターを使えば、細かなカスタマイズが必要な案件でも、比較的短納期で、コストを抑えて提供できるようになります。

特に、オーダーメイドのチャンネル文字や、特殊な形状の看板部材など、これまで高額だったものを、より多くのお客様に提供できるようになったことは大きな進歩です。

3Dプリンターでの製造における課題はありますか。

やはり強度面です。屋内ではどこでも使用できるような強度を確保できているのですが、今後は屋外の大型サインでも使用できるよう、紫外線や雨風に耐久できる素材を含めて、社内で試行錯誤しながら取り組んでおります。

屋外使用を実現できれば、さらに用途が広がりますね。

はい。屋外での使用が可能になれば、ビルの外壁看板や、屋外サインなど、より幅広い案件に対応できるようになります。今は材料メーカーとも連携しながら、耐候性の高い素材の研究を進めているところです。

52名の組織を支える、属人化を防ぐ体制づくり

現在の従業員数を教えてください。

現在は52名います(2026年取材時点)。製造チームが最も多く約25名、施工チームが8名ほど、あとは意匠設計や営業、LEDビジョンの担当などに分かれて活動しております。

組織化していく中で苦労されたことはありますか。

看板制作というのは、工程が非常に多いのです。例えば、50万円規模の案件でも500万円規模の案件でも、あまり変わらないぐらい工程があります。そのため、業務負担がなるべく1つの部署に集中しないようにするなど、一人に負担がかからない業務フローの構築には今でも悩みながら日々取り組んでおります。

具体的には、どのような工程があるのでしょうか。

まず、お客様との打ち合わせから始まり、意匠提案、お見積り、ご契約、設計、材料の手配、製造、品質チェック、現場への搬入、施工、最終検査と、本当に多くのステップがあります。

小さな案件でも大きな案件でも、これらの工程を省くことはできません。ですから、いかに効率よく、かつ品質を落とさずに進めるかが重要なのです。各部署が連携しながら、スムーズに案件を進められるような仕組みづくりに、今も継続して取り組んでいます。

デザインの提案などは、社長が対応されているのですか。

いえ、チームで対応しております。意匠部と営業部で具体的な形にしながら、お客様に提案する形になっております。

属人化を防ぐ組織づくりも、御社の強みの一つですね。

ありがとうございます。ただ、看板業界は覚えることが通常業務の2、3倍ほどたくさんあり、教えるのも大変難しい領域です。看板業の中でも、一部のスタッフはまだ半分ぐらいしか知識がないけれども、その分野では非常に高い能力を持っている人間もおります。個々の能力や強みが、会社全体の能力につながっていると考えております。

どのような社員が働いていらっしゃいますか。

本当に様々なタイプが在籍しています。例えば、黙々とものを作るのが好きな人、職人気質より毎回違うことを「いかに取り付けやすくするか、コストを抑えられるか」を工夫しながら段取りを工夫するタイプ。営業はお客様の目線に立って課題を整理し、最適な提案まで組み立てられるメンバーが揃っています。

現在は、各業務に意識の高い人材が揃っていると思います。

売上よりも豊かさを。業界で一番の環境づくりへ

今後5年、10年のビジョンをお聞かせください。

私自身は、「何かを生み出すきっかけ作り」のポジションにつきながら、様々な提案をして背中を押すような役割が良いと思っております。

会社として目指している方向性についてはいかがでしょうか。

会社としては、現在順調に業績も売上も伸びていますが、売上だけを求めるのではなく、会社そのものが豊かになる環境を作りたいと考えております。

業界内では比較的人数の多い会社かもしれませんが、世間一般で見れば小さな組織です。その中で、売上よりも、経済的にも働く環境としても、業界で1番になっていこうという思いを共有しながら取り組んでいます。

「売上よりも豊かさ」というのは、具体的にどのようなことでしょうか。

樹サインが大切にする「豊かさ」は、給料や休みの多さだけではありません。

まず「経済的な豊かさ」無理な値引きや急な残業で帳尻を合わせる稼ぎ方ではなく、当社の強みであるモノづくりの価値で利益を出し続けること。そうして初めて、給与や福利厚生を充実することで安心が生まれます。

次に、心の豊かさ、頑張りで乗り切るのではなく、段取りと仕組みで回る働き方。休みたいときに休めて、困ったら相談でき、現場が荒れない空気をつくる。安全を最優先に人員配置や工程、ルールを整え、無理のない業務フローを大切にします。

そしてもう一つ、樹サインは「成長できる豊かさ」も欠かせないと考えています。海外研修や展示会、工場見学、他社事例の視察などの現場でしか感じられない体験から学び、視野を広げて挑戦できる環境を用意する。その学びを個人の満足で終わらせず、現場の改善や新しい提案に落とし込み、次の成果につなげる。
それが私たちの考える「豊かさ」です。

市場の変化に埋もれない会社であり、挑戦が楽しめる環境を大切にして、スタッフが「ここで働いて良かった」と思え、お客様が「任せて良かった」と感じる関係が続くことを、数字と同じくらい大事にします。

27年間、会社を安定して続けてこられた秘訣は何でしょうか。

看板は、様々な工程を踏みながら、色々な要素を踏まえて形になり、現場で取り付けていきます。そういった総合的な対応力というところで、優れていたのかなと思っております。

ただ、それ以上に大切だったのは、お客様との信頼関係です。看板という仕事は、一度設置したら終わりではありません。メンテナンスもありますし、新しい店舗ができればまたご依頼いただけます。長く信頼していただけるような関係をチームで築いてこられたことが、27年間成長し続けてこられた一番の理由だと思います。

街を彩る仕事への誇りと、次世代への技術継承

創業から27年、独立した時と同じ年数を経営者として歩んでこられたわけですが、最も成長を感じられる部分はどこですか。

やはり、看板という仕事は、非常に多くの工程を経て、様々な要素を踏まえながら形になり、現場で取り付けていくものです。技術的なことだけでなく、お客様とのコミュニケーション、チームマネジメント、品質管理、コスト管理、webマーケティングなど、すべてを総合的に見ながら判断していく力が培われてきたと感じています。

最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。

看板という仕事は、街を彩り、人々の目を楽しませ、情報を伝える大切な役割を担っています。商業施設に行った時、ホテルに泊まった時、街を歩いている時、必ず目にする看板。その一つ一つに、私たちのような職人の技術と思いが込められています。

これからも3Dプリンターやサイネージ、AI技術などの応用を取り入れながら、お客様に最適な提案をし、従業員が豊かに働ける環境を作っていくことが、私の使命だと考えております。ものづくりの楽しさを次世代にも伝えながら、業界で1番の環境を持つ会社を目指して、これからも挑戦を続けてまいります。

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COMPANY 企業情報

企業名
株式会社樹サイン
代表者
岡村 直樹
所在地
埼玉県志木市上宗岡3丁目6-18
設立
平成11年1月
事業内容
プランニング    :企画・調査・設計・デザイン・サインプラン・サインプロット
サインシステム :公共・医療・商業・各種施設サイン・CIサイン
オーダーサイン :広告塔・ネオンサイン・袖看板・壁面看板・建植看板・モニュメント・LEDサイン
エクステリアサイン:スタンドサイン・案内板・掲示板・銘板・チャンネル文字
インテリアサイン :案内板・掲示板・室名札・突出サイン・吊下サイン・切り文字・点字サイン
HP
https://www.kanbanitsuki.com/

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