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時代の変化を読み、5年ごとに事業を進化させてきた28年
まず、御社の創業経緯について教えてください。
弊社は1998年に創業いたしました。元々創業者がカルチャースクールを運営しており、その中の1つにワープロスクールがありました。Windows95が発売され、「これからパソコンの時代が来る」と言われていた時期です。
そこで、カルチャースクールをやめて、ワープロスクールをパソコンスクールへと転換し、さらに卒業生の人材派遣も行おうということで、株式会社アストンを立ち上げました。私はその法人化のタイミングで参画し、創業者と立ち上げました。
30年近く事業を続けてこられた秘訣を教えてください。
私どもは、時代に合わせて商材やサービスを柔軟に変えてきました。最初に始めたパソコンスクールも、ちょうど運が良かったと言いますか、当時の森総理が「IT革命」を掲げ、国が無料でパソコンスクールを提供する事業が始まったのです。私たちもそれを請け負って運営しておりました。
その後、現在の事業にはどのようにつながっていったのでしょうか。
パソコンスクール事業が落ち着いてくると、今度はパソコンスキルを持った人材を企業に派遣する、人材派遣事業が盛り上がってきました。
また派遣先企業からは「パソコンに詳しい会社」というイメージを持たれていたため、パソコンのトラブルや相談をよく受けるようになったので、そこから、「それ事態も仕事としてやりましょう」という形でスタートしたのが、現在も続いているパソコンサポート事業です。
時代の変化に合わせて、事業を柔軟に変えてこられたのですね。
そうですね。時代の流れに合わせて、辞める事業もありましたが、少しずつ形を変えてきたことが、長く続けてこられた理由だと思います。
トレンドの移り変わりは早く、以前は5年と言われていましたが、最近では3年ほどで大きく変わってしまいます。前は主力だった事業が、今ではほとんどなくなってしまうことも珍しくありません。
そのため、今うまくいっている事業があるうちに、次の柱を見据えて先に手を打っていくことを常に意識しています。
例えば、どのような事業は撤退されたのですか。
当初は、家電量販店向けの販売員派遣を多く手掛けていました。
その頃は、現在の光回線の前にADSLが普及し始めた時期で、家電量販店でパソコンを購入したお客様に、インターネット回線を一緒に契約していただく販売スタイルが主流だったのです。私たちは、ADSLをはじめ、プリンターやパソコン関連商品の販売員派遣を行っていました。
ただ、こうしたサービスも普及が進むにつれて特別なものではなくなり、需要が徐々に減っていきました。そのため、その事業については完全に撤退しました。

福祉への思いが、28年後に結実。障がい者IT就業センターという新たな挑戦
現在、特に力を入れている事業について教えてください。
今は人手不足という課題に対し、それを補うようなAIやDX、そして障がい者雇用に力を入れています。特に障がい者雇用については、2026年4月から本格的に始めたところで、先行投資をしている段階です。
障がい者雇用に取り組まれている背景を教えてください。
実は、私は元々福祉の専門学校に通っており、実習先からそのまま就職する話もいただいていたのです。障がい者の方の生活支援のような仕事をする予定だったのですが、ちょうどその時に、今の創業者のところでアルバイトをしており、「今度、派遣の仕事を立ち上げるから手伝ってくれないか」と声をかけてもらったのです。
会社の立ち上げに関われるチャンスはなかなかありませんので、参画させていただきました。
当時から、障がい者雇用とITを結びつけるイメージはあったのでしょうか。
はい。ボランティア活動などに参加する中で、「ITが発展すれば、障がい者の方が活躍できる仕事ももっと増えるのではないか」と感じていました。
それであれば、将来的に仕事を紹介できるよう、まずは企業との取引先やITのノウハウを持っておいた方が良いと考えたのです。その思いが、今ようやく形になってきたと感じています。
独自の仕組みで企業と障がい者をつなぐ「IT就業センター」
障がい者の方は具体的にどのような業務をされているのですか。
主に法人向けのITサポートです。PC等情報機器の設定やIT資産の管理、マニュアルの作成等を行います。また一次ヘルプデスクからQ&Aを蓄積してAIに読み込ませるみたいなことをBPOグループと連携して行うようなことも予定しております。
企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
従業員40人以上の企業には、障がい者雇用の義務があります(26年5月現在)。ただ、中小企業では「どんな人を採用すればよいかわからない」「任せられる仕事がない」「受け入れ体制が整っていない」といった課題を抱えているケースが多いのです。特に100人前後の企業では、大手企業ほど障がい者雇用のノウハウを持っていない場合が少なくありません。
一方で、人手不足によってIT人材も不足しています。
障がい者の方への研修はどのように行っていますか。
障がい者の方自体も、未経験の方も多いので、まずは基礎からしっかりと教えています。
元々パソコンスクールを運営していた経験がありますので、教育のマニュアルはある程度できています。IT基礎知識から、実際の業務で使うソフトウェアの操作、ネットワークやセキュリティの基礎知識、仕事間のコミュニケーション方法まで、体系的に研修を行っています。
人材の受け入れはどのように進めているのでしょうか。
就労移行支援施設と連携し、障がい者の方をご紹介していただいています。障がい者の方が自立して仕事をしたいということで、施設で訓練を受けています。そのため、どんな特性があるのかがよく分かっています。
その上で、まずは弊社で契約社員として雇用し、IT関連の様々な仕事をしていただきます。もし特に問題なく、長く勤められるということであれば、企業側にご紹介するのです。
通常の人材紹介とどう違うのでしょうか。
私たちの「IT就業センター」で、障がい者の方は私たちの契約社員として働きます。企業側が雇った後も、このセンターをサテライトオフィス扱いにして勤めてもらうのです。
障がい者の方にとって、今までの慣れた環境でそのまま勤められますし、企業側としても、受け入れ体制を考えなくて済みます。私たちに預けてもらえれば、自分たちの仕事をやってもらえる環境ができるということです。ここで仕事のやり取りをしている中で、だんだん人間関係も近づいてくるのではないかと考えております。
IT就業センターでは、どのような環境で働いているのでしょうか。
センターでは、障がい者の方が安心して働けるよう、環境を整えています。また、私たちのスタッフが常駐していますので、ITスキル含め業務上の質問や困りごとがあれば、すぐにサポートできる体制になっています。
仕事量が足りない場合はどうするのですか。
大体、月に120時間働くことになるのですが、企業側から120時間分の仕事があるとは限りません。そのため、仕事がない時は、私たちが業務委託でIT関連の仕事を用意します。だから、100時間分を業務委託したとしたら、100時間分の委託費用を弊社がお支払いします。
スタッフのスキルが上がってくれば、企業側で任せられる仕事の範囲も広がっていきますので、徐々に企業側の業務の割合が増えていくという仕組みです。

全国展開も視野に。FC化へ向けた課題と展望
素晴らしい仕組みですね。全国展開も考えていらっしゃいますか。
今後はFC(フランチャイズ)という形で展開しようと思っております。
現在は営業活動を始めたところなので、まずは仕組みを確立し、実績を作ることが重要だと考えています。
今後、展開していく上での課題はありますか。
やはり業務委託の仕事をどれだけ確保できるかという点です。
企業側から120時間分の仕事がない場合に、私たちが障がい者の方に業務委託で仕事を振れるだけの案件を持っていないと、この仕組みが成り立ちません。それもパターンが少なければ同じ作業の繰り返しでスキルアップにならない。そのため、様々な種類のIT関連の仕事を確保していく必要があります。協力してくださる支援パートナー会社を同時に募集しており現時点で30社集まっております。FC展開を考えるとまだまだ集めたいです。
また、教育のマニュアル化はある程度できていますが、これもFC展開を見据えると、さらに標準化を進める必要があります。
この仕組みがうまく回れば、全国的に展開できる可能性がありますね。
はい。この仕組みが確立できれば、全国各地で同じモデルを展開できると思っています。人手不足と障がい者雇用という2つの社会課題は、全国共通のテーマなので、ニーズは間違いなくあると考えています。

28年間で学んだ、時代の変化への向き合い方
28年近く経営されてきて、時代の変化に対応し続けることの難しさはいかがですか。
正直、簡単ではありませんでした。5年、最近では3年でトレンドが変わるというのは、常に次を考えていないといけないということです。今うまくいっている事業があっても、それにあぐらをかいていたら、あっという間に時代に取り残されてしまいます。
私たちの場合、パソコンスクールから人材派遣、そしてITサポート、BPO、そして今の障がい者雇用支援と、時代に合わせて事業を変えてきました。その都度、新しい知識を学び、新しいスキルを身につけ、新しいネットワークを作ってきました。
変化に対応するために、最も大切なことは何でしょうか。
やはり、様々な業種の方と知り合い、常に情報をアップデートしていくことだと思います。本やネットの情報も大切ですが、実際に様々な業界のビジネスをされている方々と直接話すことで得られる情報は、何にも代えがたいものがあります。
また、お客様の課題に真摯に向き合うことも重要です。私たちが今の事業を始めたのも、お客様から「パソコンのことで困っている」「人手が足りない」という声を聞いたからです。お客様の課題を解決しようとする中で、自然と新しい事業が生まれてくるのだと思います。
今後の御社の目標について教えてください。
まだまだ人手不足と言っている中でも、働きたくても働けない人は結構いらっしゃると思うのです。時間的な制約であったり、身体的な障害による制約であったり、様々な方がいらっしゃると思います。
その方々をITの力でもっと活かせれば、クリアできることはもっとたくさんあると思うのです。そういった社会的なインパクトを、私たちの会社がきっかけとしてできればと思っています。
上西社長ご自身の今後のキャリアプランはいかがですか。
私はもう、この障がい者の雇用促進というところが、一番の自分の人生のミッションだと思っています。この分野とずっと関係を持っていければいいかなと思っています。
最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
時代のサイクルが非常に早いので、ついていくには、本やネットの情報も大事ですが、やはり様々な業界の方と知り合っていかないといけないと思います。私でよければ、ぜひコミュニケーションを取らせてください。





