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川崎重工業との出会いから独立へ。航空機部品加工37年の歩み
まずは御社の経緯を教えてください。
弊社は1987年に設立されました。創業当初は川崎重工業様に出資いただき、航空機部品の加工事業をスタートいたしました。そこから約30年後の2014年頃に資本関係が解消され、完全に独立した形となりました。
現在は航空機部品に加えて、産業用ガスタービンという発電機、そして防衛省関係のエンジン部品の加工も手掛けております。取引先の約90%は川崎重工業様で、資本関係は解消されましたが、引き続き強固な信頼関係のもとでお取引をさせていただいております。
上村さん個人の経歴を教えていただけますか。
大学卒業後に川崎重工様で2年間勉強させていただきました。そこで生産管理を中心に経験を積み、自社に戻ってからは営業や生産管理を10年ほど担当しました。部品の加工スケジュールを管理しながら、お客様と納期を調整していくといった仕事です。
その後、今から約5年前からは会社全体のことを見るようになりました。2〜3年先の仕事量を予測しながら、人員配置を考えたり、会社の方向性を決めたりという役割を担っております。取締役に就任してからは3年目になりますね。
切削施設100台、航空機認証という高い壁。他社との差別化ポイント

加工業や部品メーカーは多数ありますが、御社ならではの強みについて教えてください。
まず設備面では、切削施設を100台近く保有しております。また、特殊工程の技術も持っており、新しい海外製の加工機も積極的に導入しながら、常に技術のアップデートを図っております。
しかし何よりの強みは、航空機という分野を長年取り扱ってきた実績だと考えております。航空機部品は認証取得が非常に難しい分野です。品質の要求水準も、技術的な要求も、他の産業と比べて格段に高いものが求められます。
航空機は他のモビリティと比べて、品質要求の難易度が高いのでしょうか。
まず第一に、安全性に対する要求レベルが桁違いに高い。例えば、一般的な製品なら数%の不良率が許容される場面もありますが、航空機では『不具合ゼロ』が当然です。1つの部品のミスが、人命に直結しますから。次に、品質保証やトレーサビリティの水準も非常に厳格です。数年、場合によっては数十年先まで、いつ誰がどの工程を担当し、どんな素材が使われたかを証明できなければならない。これは他業界では考えられないレベルです。
この高い品質基準をクリアし続けてきた長年の経験と技術の蓄積が、弊社の最大の強みだと考えております。
取締役就任後、300人全員と面談。「顔と名前を一致させる」ことから始めた組織改革
取締役として経営に携わる中で、成功体験を教えていただけますか。
弊社には約300人の従業員がおります。私が取締役に就任した際、経営に携わる以上、1人1人の顔が見えていなければ、本当の意味で会社を良くすることはできないと考えました。
そこで、全員の顔と名前を一致させる必要があると思い、300人全員と1対1で面談を行ったのです。
面談してみていかがでしたか。
結果的に本当に良かったと思っております。人員配置の話や、何かトラブルが起こった時に、名前が出てきただけで「あの人か」とすぐに人柄が思い浮かぶようになりました。一度でも話をするだけで、その方の人柄というものが見えてくるのです。
面談では「会社に対して不満はないですか」ということも全員に聞きました。1人1人と本当に向き合う時間を持ったことで、社内を歩いていても声をかけてもらえるようになりましたし、ちょっとしたことでも相談してもらえるようになりました。やはり人と人とのつながりが、組織にとって一番大切だと実感しております。
距離感の難しさと、真摯に向き合う姿勢。人のつながりを何より大切に
ビジネスで大切にしている考え方や心構えについて教えてください。
やはり人のつながりが大切だと考えております。
入社して2年間、川崎重工様のところで勉強させていただいたのですが、その時に知り合った方やよくしていただいた方と、今でもお仕事をさせていただいております。あれから10年以上経ちますが、当時築いた人脈が今も生きているのです。
技術や製品の話も大切ですが、最終的にはやはり人と人との信頼関係でビジネスは成り立っていると実感しております。
直近でつながりの大切さを実感したことはございますか。
直近でいえば、今まで会話したこともなかった従業員の方と会話することで、仕事がやりやすくなると実感しております。
そして、つながりを作る上で重要なのは、真摯に向き合うということです。隠し事や嘘をつかずに、ちゃんと向き合うこと。困っていることがあれば正直に言う、できないことは「できない」とはっきり伝える。これが信頼関係を築く上で最も大切だと考えております。
小学生バスケ大会、クラブ活動制度。地域と従業員を大切にする取り組み

地域社会やコミュニティとの関わりについて教えてください。
地域社会とのつながりについては、ある従業員の声をきっかけに取り組みが広がっていきました。
弊社に、小学生のバスケットボールのコーチをしている従業員がおります。その従業員から、小学生バスケットボールの大会がスポンサー不足で非常に少なくなってきているという話を聞きました。
子どもたちが練習した成果を見せる場所がない。大会があれば、子どもたちは目標を持って練習できますし、保護者の方々も応援に来られます。しかし、スポンサーが見つからず、大会が開催できない状況が続いているというのです。
大会を開催できない状況に対して、どのような取り組みをしたのですか。
その従業員が「大会を開きたい」と言っていたので、弊社が出資することにしました。地域の子どもたちのためになることですし、従業員が情熱を持って取り組んでいることを応援したいと思ったのです。去年から「上村航機バスケットボール大会」を開催、年に1〜2回、だいたい6〜7チーム、約200人が参加する大会となっております。
開催してみていかがでしたか。

初めて開催した時、子どもたちの真剣な眼差しと、保護者の方々の温かい声援を見て、本当にやって良かったと思っています。会社の認知度向上にもつながりましたし、何より地元の小学校のバスケットチームが来てくれるので、地域との結びつきが強くなりました。
地域に根差した企業として、地域の皆様に少しでも貢献できることは、とても意義深いことだと感じております。
社内的な取り組みについても教えていただけますか。
社内では「クラブ活動制度」というものを導入しております。従業員が3人集まれば、どんなクラブでも作ることができるのです。
現在は登山部、釣り部、ゴルフ部、アウトドア部、野球観戦クラブなど、幅広いクラブがあります。ゴルフ部が最も人数が多いですね。
クラブ活動制度を導入してどのような効果がありましたか。

このクラブ活動を通じて、従業員同士のつながりも深まっています。登山部は先日、六甲縦走大会という地域の大会にクラブ活動として出場しましたし、ゴルフ部は全国大会まである企業ゴルフ大会に出場しております。
仕事だけでなく、こうした活動を通じて従業員同士の関係が深まることで、職場でのコミュニケーションも円滑になっていると感じております。
右肩上がりの航空機需要に応えるために。今後の最重要課題は「人材」
今後の業界トレンドと、御社の方向性について教えてください。
業界としては、航空機産業は今後も右肩上がりの成長が予測されています。コロナで一時落ち込みましたが、もうコロナ前の水準まで需要は戻ってきております。
一方で、材料供給側のキャパシティがボトルネックになっています。
こうした課題はあるものの、中長期的に見ると需要は非常に強く、航空機産業は今後も成長が続く分野だと考えています。
需要の高まりは日本に限ったことなのでしょうか。
世界的な航空機需要が伸びており、日本の重工メーカーが納めているのはアメリカやヨーロッパの航空機メーカーです。つまり、世界的な需要の伸びが、そのまま日本の航空機産業の需要増につながるのです。
その需要増に対して、御社としてはどのような対応をお考えですか。
私たちとしては、現在取り組んでいる加工にとどまらず、さらに難易度の高い加工へと挑戦していきたいと考えています。現在、新たな工場の建設も検討しており、設備投資も積極的に進めていきます。
しかし、一番大切だと思っているのは「人」のところです。特に採用が非常に難しくなってきている状況です。
採用活動について教えてください。
高校生や学生の就職活動をしている方々に向けて、説明会をさせていただいております。人を集めること、そしてその教育、これをしっかり考えていかなければならない。そんな5年、10年になると感じております。
幸いにも仕事量は右肩上がりで、本当にありがたいことに捌ききれないほどの仕事量があります。だからこそ、それに対応できる人材の確保と育成が最重要課題なのです。
従業員が誇れる会社へ。
5年後、10年後の御社のビジョンを教えてください。
足元を強化していきたいと思っております。
足元を固めるというのは、従業員の満足度を高めることだと思っています。
私が目指しているのは、従業員一人ひとりが、自分の働いている会社を誇れる状態です。
これまで全員と面談を行ってきましたが、まだ道半ばだと感じています。この5年は、そうした想いを軸に、少しずつ会社の在り方を見直してきました。
仕事や技術はあります。ただ、それ以上に大切なのは、そこで働く人たちが幸せを感じ、誇りを持って働けるかどうかだと思っています。
航空機産業に興味のある技術者を募集中
最後に、PRしたいことがあればお願いします。
現在、人材を募集しております。特に高校生の新卒採用に力を入れております。もちろん、中途採用も歓迎です。技術者の方で、航空機に興味がある方に来ていただけたら嬉しいですね。
航空機産業は今後も成長が見込まれる分野です。高い技術力が求められる分野でもあり、やりがいも大きいと思います。
そして何より、弊社は人のつながりを大切にする会社です。300人の仲間と一緒に、航空機産業を支える仕事に携わってみたいという方、ぜひお声がけいただければと思います。





