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美容師から化粧品OEMメーカー経営者へ転身「お客様の夢の実現が最大の成功体験」

株式会社ハピネス
取締役社長 山本 慎二氏
公開日:
2025.08.17
更新日:
2025.08.29

美容師への憧れから工事現場、そして専門学校へ

まず、山本社長の個人的な経歴を教えてください。

私は東京の杉並区出身で、高校時代から美容師になることを夢見ていました。当時は校則が比較的自由で、髪を様々な色に染めることができたこともあり、学校では後輩や友達の髪を切るほど美容師に憧れていました。

ただ、学業の成績が思わしくなく、学校にもあまり行けない時期があったため、卒業見込みをもらえない状況に陥ってしまいました。卒業式の前日にようやく卒業見込みを出していただけたのですが、受験シーズンには間に合わず、美容専門学校を受験することができませんでした。

その後はどのような道のりを歩まれたのですか?

工事現場で働きながら、専門学校の夜間部を受験したのですが、数学の試験でつまずいてしまい不合格となりました。そのまま工事現場で約4年間働き続けましたが、21歳の時に山野美容専門学校の通信課程に入学しました。大手の専門学校でしたので、「お金さえ払えば入学できるだろう」と考えてのことでした。

通信課程では工事現場で働きながら学校に通う日々が約1年間続き、その後ようやく美容師として働き始めることができました。美容師としては6年間勤務し、その後現在のハピネスに転職いたしました。

伝説と呼ばれるほどの練習量で技術を磨いた美容師時代

美容師時代はどのように過ごされていたのですか?

美容師時代は本当に練習に打ち込んでいました。お店を出すつもりで「伝説」と言われるほど練習していたのですが、練習しすぎて電気代が高くなったと怒られていました。 

ただ、練習すればするほど周りから「すごいね」と言われるようになったのですが、私にとっては「君たちがやっていないだけ」という感覚でした。駅からお店まで毛髪科学の本を読みながら歩くなど、とにかく勉強と練習が好きでやっていたんです。

ハピネスに転職されるきっかけは何だったのでしょうか?

そうした取り組みが評価され、社内講習の講師を任されるようになりました。その時にディーラーの方から「講習をやってみませんか」という声をかけていただいたのです。メーカーやディーラーに行けば毎日美容師の方と話ができ、業界全体がより良くなればいいなという想いもありました。

また、現在のハピネスは美容室も運営しており、「美容師も続けていいし、様々な美容師さんと話もできる」という環境に魅力を感じて転職を決意しました。

「業界をより良くしたい」想いでハピネスへ転職

ハピネス様の会社としての歴史についてはいかがですか?

私は2代目の社長ですが、工場としては4代目となります。この工場は満州戦争時から続く約90年以上の歴史があり、当初は戦争で赤切れなどができた兵士向けのハンドクリームを製造していたのがスタートでした。戦争が終わって兵士の方々が国内に戻ってきて、化粧品の販売を手伝っていただいたのが事業の始まりです。

興味深いのは、先代、先々代ともに血縁関係のない第三者承継で会社が引き継がれてきたことです。先々代の方が事業承継に困った際に、当時代理店として商品を取り扱っていた現会長が「なくなったら困る」ということで引き継がれ、今回私が2回目の第三者承継として社長に就任いたしました。

90年以上の歴史を持つ工場の第三者承継

ハピネス様の事業内容を教えてください。

弊社は美容室向けのヘアケア・スキンケアの商品を中心としたメーカーです。 自社工場を持っていますので、サロン様や企業様、インフルエンサーの方など様々なお取引先のOEM・PB商品を作らせて頂いています。

他社との差別化ポイントはどんなところでしょうか?

いくつかありますが、元美容師のスタッフが多い事・研究員との距離が近い事・小ロットに対応出来る設備やノウハウが揃っている事等です。

元美容師のスタッフが多い為、美容師さんの目線になり、寄り添いながら商品開発が可能です。

また、研究所が本社のすぐ近くにあるので、コミュニケーションが取りやすく、お客様のご要望をスムーズに伝えやすくなっています。

自社でラベルの印刷機を持っている事や、自社ブランドを展開している関係で容器などの資材を常に在庫しているため、小ロットにも対応出来る環境とノウハウがしっかりしています。

美容師出身だからこその強み

山本社長が引き継がれてから取り組まれた新しい施策について教えてください。

現在進行中の取り組みとして、SNS運用と広告運用の内製化SEO対策・MEO対策などを進めています。これまで外注していた業務を内製化することでコストカットを図り、将来的にはお客様の商品販売において広告運用まで安価で提供したいと考えています。お客様が売れれば売れるほど弊社の売上も増加するため、ここまでサポートしている会社は他にないと自信を持っています。

他にはどのような取り組みをされていますか?

私が特に意識しているのは、美容業界内の異業種企業との連携です。弊社と同じ製造業同士だとお客様の取り合いになってしまいますが、異業種であれば確実に競合しません。同じお客様に対してもそれぞれ違うサービスを提供できるため、お互いに紹介し合える関係を築いています。

アライアンスを組んでいる企業もあれば、純粋に紹介のみの関係もありますが、ワンストップに近い形で、弊社で対応できない案件でも適切な企業をご紹介できる体制を整えています。

業界の課題を解決する新たなキャッシュポイントの創出

美容業界の今後のトレンドについてどのようにお考えですか?

美容業界、特に地方の美容室が直面している大きな課題があります。繁華街の美容室と地元の街にある美容室では客層が異なりますが、一般的な地元の街の美容室の方が圧倒的に多いのが現状です。

そうした美容室のお客様の年齢層はどんどん上がっており、白髪染め、パーマ、トリートメントといった単価が高くサイクルが短くサービスを利用される方が中心です。しかし、高齢化が進む中で、こうした大切なお客様がどんどん来店出来なくなってしまうという現実があります。

その課題に対してどのような解決策を提案されていますか?

この課題は美容業界に限らず、様々な業界で起こっていることだと思います。そこで私は、サロンに対して新しいキャッシュポイントの創出として、OEM事業を強く提案しています。

従来、サロンがOEMで商品を作る場合、基本的にはそのサロンで販売することしか考えていませんでした。しかし現在は「メーカーになる」という考え方で、どこに販売してもよいという提案をしています。

サロンがサロンに販売することもあれば、従来は代理店から商品を購入していたサロンが、OEMでメーカーになることで代理店に卸すケースもあります。一般小売店での販売、Amazon等のECサイトでの販売、さらには輸出まで、様々な販路を開拓できるよう支援しています。

国内人口が縮小する中でも、海外に目を向ければ全く関係のない話です。実際に、モンゴルへお客様の商品の輸出のサポートをして、現地での展開を進めています。

お客様の夢を5年かけて実現した成功体験

これまでのビジネスにおける失敗体験があれば教えてください。

失敗体験として反省しているのは、立場上、部下に正しいことを伝える必要がある際に、言い方で相手を傷つけてしまったことがあることです。正論は時として人を傷つけてしまうため、伝える気持ちと方法のバランスが重要だと痛感しています。

逆に、成功体験についてはいかがですか?

最も嬉しかった成功体験は、私の営業スタイルの一つである「夢の共有」を実現できた案件です。お客様から希望や願望をお聞きし、それを仕事を通じて叶えることができれば最高だと考えています。

具体的にはどのような案件だったのですか?

初めてお会いしたあるお客様が「タイが好きだから、タイで何かやりたい」とおっしゃったことがありました。その場で「それなら日本で商品を作ってタイに輸出しましょう」と提案したのです。

実際に形になるまでに時間はかかってしまいましたが、商品がタイに渡り、私も現地を訪問させていただきました。タイの店舗で弊社が製造した商品が棚に並んでいるのを見た時は、本当に感慨深いものがありました。

弊社が製造するのは基本的に美容室専売品のため、一般店舗で弊社の商品を見かけることはありません。しかし、お客様のOEM商品については自由に販売していただけるため、一般消費者の方に手に取っていただけるのを見ると非常に嬉しく思います。

経営者として大切にする「未来を考える」姿勢

経営者として大切にされている考え方や姿勢について教えてください。

今年3月に社長に就任したばかりで、まだ駆け出しの段階ですが、経営者になってから特に意識が強くなったことがあります。

役職が上がれば上がるほど、会社の未来を考えなければならないということです。もちろん目の前の仕事も大切ですが、他に役職者がいる中で、私は特に未来を考える仕事を増やすよう意識しています。

社内の朝礼でも同様のことを伝えており、社長になってからこの意識が非常に強くなりました。弊社に携わって頂ける方々を幸せにして、未来に向かって繁栄する会社を作っていくことが、私の最大の責務だと考えています。

海外展開も視野に入れたワンストップサービスの構築

5年後、10年後の将来的な会社のビジョンについて教えてください。

現在進めている様々なアライアンス事業を含めて、ワンストップでサービスを提供できる範囲を内製化することで、コスト調整が可能になり、お客様に最大の利益を提供できると考えています。

物流事業など、弊社が現在行っている仕事に近い事業展開で、現在の取引先にもメリットがでる事業を展開していきたいと考えています。広告の内製化も同じような考えでスタートしております。

上場などはお考えですか?

上場については現在考えておらず、むしろ分社化による展開を検討しています。それぞれに管理監督できる社長を配置し、事業を拡大していきたいと考えています。

海外展開についてはいかがですか?

韓国企業との合弁事業も展開しています。こちらの会社では、韓国内、国外のOEMと並行して韓国のブランドの製造も手がけています。

また、ヘアケア商品を中心に、韓国・中国・台湾・モンゴル・ロシア・シンガポールなど様々な国に輸出をしています。その他の国も数ヵ国商談中です。

後はアパレル事業になりますが着物のリメイクシャツの販売を始めたのですが、バングラデシュ、ベトナム、カンボジア、中国の4カ国で製造していただいています。この中の3カ国では化粧品の話も同時に進めており、非常に相性が良いと感じています。

製造をお願いしながら化粧品輸出の話もできるため、インバウンド需要と合わせて、海外の方もターゲットにしつつ、メイドインジャパンの化粧品を組み合わせた展開を考えています。

最後に、読者の皆様に向けて自由にPRをお願いします。

現在、BtoBやBtoCという言葉がありますが、私たちが注目しているのは「PtoC(Personal to Consumer)」という個人が消費者に直接販売するスタイルです。最も分かりやすい例はインフルエンサーの方々ですが、弊社のお客様には本当に個人レベルの方もいらっしゃいます。

それほど小さなロットから製造可能で、そこからチャンスを掴んで成長していく方もいらっしゃいますし、BtoC事業者様でも1店舗という小規模でありながら驚くほど商品を販売される方もいらっしゃいます。

具体的にはどのようなサービスを提供されていますか?

化粧品のOEM事業や自社商品を美容室などのサロンに卸させて頂いております。OEMに関しては会社の売り上げの主軸になっております。小ロットから商品を作る事が出来ますので、負担が少なく化粧品事業がスタートできます。

そうしたチャンスやきっかけを提供できれば非常に面白いと思いますので、何かトライしてみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。お客様の夢の実現を共に目指せる関係を築けることを楽しみにしております。

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COMPANY 企業情報

企業名
株式会社ハピネス
代表者
山本 慎二
所在地
〒170-0011 東京都豊島区池袋本町4-12-6
設立
1984年(昭和59年)6月
事業内容
理・美容化粧品の製造販売
理・美容器具の製造販売
理・美容化粧品及び器具用品の輸出入
美容室の経営
HP
https://www.happiness-cosmetic.com/index.html

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