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世界を旅しながら見つけた波情報ビジネス

まずは高橋さんご自身の経歴について教えてください。
大学には行かずプログラマーとして働き始め、2年で独立しました。最初は今でいうSES(System Engineering Service)、エンジニアの派遣事業をしていました。請求書を作るだけで収入が入ってくるという非常にシンプルな仕事だったので、サーフィンとスノーボードをしながら、世界中を旅していました。
趣味を中心とした生活だったのですね。
そうです。ただ、インターネットができる時代になってから、ウェブのプログラミングを自分で勉強して、波情報のサイトを作りました。これが前身の会社「デジサーフ」です。デジタル・サーフ・インフォメーションという意味で、1993年に会社を設立し、湘南ビジネスコンテストで優秀賞を受賞しました。
どのようなサービスだったのですか。
海岸にカメラを設置して、今の海がライブで見られるというサービスです。リアルタイムな映像が流れていれば常に最新情報になるので、更新の手間がいらない。このライブカメラの画像をいろんな波情報会社に販売し、会社が大きくなっていきました。
その後、事業はどのように広がっていったのでしょうか。
冬には全日本スキー連盟や全日本スノーボード教会、スキー場が主催する大会の申し込みサイト「デジエントリー」を作りました。これが大体、冬の3ヶ月で5億円ほどの資金が動き、波情報よりも事業規模として大きくなりました。
そしてさらに春から秋のビジネスを大きくしようとして思いついたのが、バーベキューです。バーベキュー場の予約受付システムを2009年から開始し、神奈川県の公園で広がっていきました。当時は食材を予約時に販売して、売り上げを公園とシェアするというビジネスモデルでした。
順調に事業が広がっていく中で、課題や転機はありましたか。
ニッチすぎて、この事業で大きくなるのは難しいと感じていました。しかし、実際には一か所の大型公園の予約開始時にはサーバーがダウンするほど需要があったので、当社が稼ぐ客単価を上げるためにオフラインの実店舗を始めました。そうすると想像以上の反響があり、2012年7月にはダイバーシティ東京の屋上にバーベキュー場を作ったのです。
日本のバーベキューが「難民キャンプ」に見えた。ラグジュアリー化への挑戦

ダイバーシティでの展開が転機になったのですね。
はい。それまでの公園や海沿いではなく、初めて商業施設の屋上に出店したことが話題になり、テレビにも取り上げられました。ここで春から秋の大体8ヶ月間の売上が3億円、利益率が55%というモデルを作りました。
なぜそれほど利益率が高いのでしょうか。
私たちは飲食店ではなくIT会社なので、食材は持ち込んでくださいというスタイルにしたんです。あくまで時間貸し、空間貸しというビジネスモデルなので、利益率が高い。駐車場と同じ考え方ですね。
その後、SBIインベストメントから投資を受けて、百貨店の屋上や駅ビルに展開していきました。ガイアの夜明けやWBS、がっちりマンデー!!、カンブリア宮殿など、テレビでも何度も取り上げていただきました。
この結果、私がバーベキューの運営を始めた2011年頃には、日本に150か所しかなかったバーベキュー場が、私の一人当たりの時間貸しビジネスモデルが広がった今では5,000か所以上になりました。
マーケットそのものを作られたのですね。
そうです。マネする企業も多く出てきました。ただ、私は海外を回っていたので、先駆者として、日本のバーベキューって正直、難民キャンプに見えたんですよ。体験としての物足りなさを感じて、これはもうラグジュアリーな体験にしていく必要があると思いました。
そこで生まれたのが「THE BBQ BEACH」ですね。
はい。ラグジュアリーバーベキューという意味で、「THE BBQ BEACH」というブランドを豊洲で始めました。これが今、大体1店舗で年間売上が10億円ほど、利益が4億円弱です。コロナ禍でもシーズン中は月商1億円規模を維持できていました。
時間貸しで受付無人の運営を自分たちでやるというサービスなので、利益率が非常に高く、席数も多く確保できます。1,000席規模の店舗を作るために、屋上ではなく遊休地に展開していきました。空間や体験をラグジュアリーにしていきながら、日本人の余暇の過ごし方をもっと欧米に近づけていきたいという考え方です。
具体的にはどのような施設なのでしょうか。
従来のように、河原の横でアウトドア用品を買って使い捨てるバーベキューではなく、ビーチクラブスタイルのバーベキューです。隣にはさらにアッパー層向けの水辺を囲んでおしゃれな時間を楽しむキラナガーデンをオープンさせ、BBQパーティーに変えていっています。バーベキューの本質が「人が集まるパーティー」だったことに気がついたからですね。
ゲームなどオンラインでの消費が中心になっている今、居酒屋が苦手だったりお酒を飲まないZ世代にとって、飲む・飲まないにかかわらず平等に楽しめるオフ会の場が、バーベキューなんです。
なるほど。だから1,000席も作られたのですね。
はい。どこの店舗を作っても全部満席だったので、このニーズを全部1箇所にまとめて大口団体を受けれるようにし、ディズニーランドのような絶対的な世界観の店を作った方がいいと思いました。それが受けて、若い子たちもお金を払って来るようになり、客層も育ちました。
無人化とAIで進化する「お出かけメディア」へ
他社との差別化について教えてください。
屋上展開はロピアさんに売却しましたので、今後の事業展開として小規模なバーベキューからは全部撤退し、パークPFI(公募設置管理制度)という何十年契約で投資ができるものしかせず、絶対的な世界観を作る方向に絞りました。
世の中をよりラグジュアリーにしたいと考えているんですが、そもそも私はITの会社として、「みんなを出かけさせたい」と思っているんです。そのために圧倒的なメディアとなるような集客装置の施設を作って、豊洲モデル、つまり利益を最大限に出すモデルだけを横展開しようと考えています。
その戦略を支える強みや、今後さらに注力していくポイントは何でしょうか。
今、大箱の受付無人化を進めるための顔認証のシステムと、団体向けのコールセンターが不要になるAIチャットで予約するシステムを開発しています。顔認証は味の素スタジアムでテストしています。バーベキューという狭いところで作ったITシステムを、お出かけ全般で使えるんじゃないかと考えています。
円安の今だからこそ。都心に海外リゾート体験を作る「マイクロツーリズム」戦略

今後の事業展開について教えてください。
今は円安で、若い子たちは海外に行きにくいと感じていますよね。そこで、日帰りで行ける海外のリゾート体験施設を作ろうと思いました。東京にビーチクラブをモデルにした施設を作ります。プールで泳ぎながらバーベキューも楽しめる、時間貸しの空間です。そういうビーチクラブを、都心の真ん中に作るといったことを進めています。
私は「マイクロツーリズム」事業と呼んでいて、海外に行かなくてもいいように国内に出かけ先を作っていきます。
こうした構想に至った背景には、これまでの成功体験もあったのでしょうか。
私が大阪で作ったグランピングが大きく成功して、コロナ時に関西ではグランピングブームが起きました。私が正解を示しているような感じですね。
そしてお出かけ先として支持されるのは、女性と子どもが楽しめる場所なんです。熊などが出てくるような山奥ではなく、ビーチ沿いのおしゃれリゾート。そこに答えがあると確信しました。
一方で、近年は大型の体験型施設が苦戦するケースもありますよね。
うちの場合は、いきなり大規模施設からスタートするのではなく、小さな公園や屋上からスタートし、遊休地や公園の再生をしていく中で、さまざまなノウハウをすべて蓄積してきました。その上で席数を増やしてスケールアップする投資方法なんです。
6都市展開で利益30億円、グロース市場上場へ
今後の会社の展望について教えてください。
小さな屋上の店舗から手を引き、うちはIKEAのような大型店だけを展開します。人が集中する、すぐ行ける場所として、千葉、東京、神奈川、名古屋、大阪、福岡の6都市に、マイクロツーリズムの施設をメディアとして作ります。
1施設に100万人ぐらい利用者がきて、大体82億円ほどの年間売り上げをするモデルを6都市に展開していくことで、市場規模としては1,000億円ほどのマイクロツーリズムとなるだろうと見ています。
上場を目指されているのですか。
はい。グロース市場の上場基準が厳しくなり、BtoBのITよりリアルビジネスの方が評価されてきています。
そこで、確実に利益を生み出せ蓋然性のある豊洲モデルを6都市展開していきます。1店舗で6億円ほどの利益が見込めるため、全体で30億円規模の利益を作れるだろうと考えています。そうなるとグロース市場の基準をクリアするので、M&Aはせず上場しようと。その利益をバックに無料のITサービス、顔認証を広めていきます。
ITサービスは無料で広めていくのですか。
PayPayが最初に広まった時と同じように、ITはやはり最初は無料で広めないとダメだと思っています。β版を広げていきながら、有料オプションで稼ぐGoogle方式を目指していきます。
地方創生の取り組みもあるとお聞きしました。
はい。地方創生として福岡県の糸島にある土地を落札しました。地元の漁協と組んで、漁港で獲れた魚介を、景色を見ながら楽しむスポットにします。来年1月に着工で、オープンは7月です。そういったプライベートビーチを本物の海の前に展開していきます。
資金調達パートナーと福利厚生利用企業を募集中

最後に、PRしたいことについて教えてください。
1番の課題は大型施設を創るための資金調達です。マイクロツーリズムをやるにあたり、行政の土地なので、土地を買えないんですよ。大規模の30年契約だとしても、不動産投資じゃなくなってしまう。そのためSPC(特別目的会社)を作って資金調達するしかないんです。
例えば、ディズニーランドのようなやり方ですね。規模が大きいので、クラウドファンディングしたり、事前に会員権を売ったりなど、その資金調達が課題です。
企業にとっては、どのような形で活用できるのでしょうか。
企業の福利厚生としての利用ですね。会社のパーティーって福利厚生なんです。居酒屋とか夜の時間帯ではなく、家族揃って楽しめる昼間の宴会ができるので、同じ空間を過ごせる場として使ってくれるようになりました。
また、婚活のパーティー会場としてご利用いただくなど、いろいろな会社さんたちとうまくコラボしながら、相乗効果をもたらせていけたらなと思います。





